特定理由離職者について

≪退職時対応≫

退職には「会社都合退職」「自己都合退職」などの退職の種類があり、その後の雇用保険や受けられる社会保険の減免などに、大きく影響してきます。

「会社都合」だと優遇されてて、「自己都合」だとちょっと厳しめ、というのは分かるのですが、自己都合退職の中でも「特定理由離職者」という分類があったり・・・。

詳しく調べていくと、かなり細かいことまで知っておかないと理解できなかったので、分かり易いように簡単にまとめてみました。

私自身が結果的に「特定理由離職者」に該当したので、この記事では「特定理由離職者」についてまとめていきます。

この記事を読んでいただければ「特定理由離職者とは?」ということが分かります。

ご自身も「もしかしたら特定理由離職者に該当するかも?」と思った方は、最低限の知識は得られると思います!

退職の大まかな分類

そもそも「退職」と一言でいっても、下記のような分類となります。

自己都合退職の中でも「特定理由離職者1」と「特定理由離職者2」というものがあるのが、余計にややこしくさせてます。

この「1」と「2」で雇用保険の優遇具合が変わってきますので、重要なポイントです。

特定理由離職者とは?

特定理由離職者1

期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
補足:契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合

ハローワークのHPには上記のとおり記載があります。
「ちょっと何言ってるか分かんない・・・」と言いたくなる表現です。

簡単言うと、下記の状況の場合が該当します。

  • 契約書上は「更新があるかもね」と明示はしてあるけど、「確約」がなくて、
  • 契約期間が満了になってしまって、
  • 本人には契約継続の意思があるが、会社の判断で契約を打ち切った
    ※更新前の契約期間が3年未満の場合

この場合は「特定理由離職者1」となります。
「会社都合」とまでは言えないど、結構会社のせいで辞めてるよね、という分類です。

特定理由離職者2

こちらは下記のような理由で離職した場合、該当します。

(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者

(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者

(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者

(a) 結婚に伴う住所の変更

(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼

(c) 事業所の通勤困難な地への移転

(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと

(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避

(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

こちらも簡単に言うと、下記の人が該当します。

  • 体や心の疾患や衰えで離職せざるを得なかった人や、
  • 妊娠、出産、育児などで離職せざるを得ず、受給期間延長措置を受けた人、
  • 両親、親族などの死亡、介護など家庭環境が急変した人、
  • 単身赴任中などに、配偶者や扶養家族と別居生活ができなくなった人、
  • 各種事情があって、通勤が困難になった人、
  • 会社の人員整理などで希望退職に応じた人 など。

理由が明確なものもありますが、「体力の衰え」など、離職理由としては明確に判断しづらいものもありますので、注意が必要です。

上記を読んで「あれ?自分も当てはまるのかも?」と少しでも思った人は、退職前に一度ハローワークに問い合わせしてみても良いかもしれません。

特定理由離職者の優遇措置

「特定理由離職者1」は「ほとんど会社都合」のような離職ですので、少し手厚い対応になってます。

特定理由離職者1のみの優遇措置

1のみの優遇処理

・雇用保険(失業保険)の給付日数が増える

「特定理由離職者1」の場合は、下記表のように「会社都合」の場合と同等の「雇用保険給付日数」とすることができます。

<特定理由離職者1の場合の給付日数>

 1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

下記の「特定理由離職者2」の給付日数を比較すると分かりますが、断然優遇されてます。

<特定理由離職者2の場合の給付日数>

 10年未満10年以上20年未満20年以上
15歳以上65歳未満90日120日150日

もし仮に「15年働いた37歳の人」がいたとして考えてみます。

特定理由離職者「1」に該当した場合は、「240日間(約8ヶ月間)の給付が受けられます。

特定理由離職者「2」に該当した場合は、「120日(約4ヵ月間)」ですので「約4ヵ月間」増えることになります。この差は結構大きいです。

もし雇用保険が「月約20万円」くらいだった場合、4か月で「約80万円」の差額となります。

雇用保険の期間が増えるということは、その間に転職活動や自営業の検討などの期間も増えますので、精神的なゆとりが全然違います。

特定理由離職者1,2共通の優遇措置

1,2共通の優遇措置

・離職日以前1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上でよい

・求職中の活動実績は4週間に1回でよい(本来、給付制限2ヶ月であれば2回必要)

・給付制限がないので、すぐに失業保険をもらえる

・国民健康保険の減免制度が利用できる

特に「給付制限がない」ことと「国民健康保険の減免制度」は、自己都合の「一般受給資格者」と比べて、かなり大きな差になります。

給付制限がない

本来は「求職申込日から7日間」の待期期間+3ヶ月間(もしくは2ヶ月間)の「給付制限期間」があります。

その期間、何しなければ一切の収入がないので、毎月約20万の生活費がかかる人であれば、40~60万円ほどは「ただ赤字になる生活」を余儀なくされます・・・。

これは精神的にも、お財布的にもかなり苦しいです。

特定理由離職者であれば、「7日間の待期期間」のみですので、日々の生活はある程度は雇用保険で賄うことができます。

国民健康保険の減免制度

こちらはダイレクトに金額に反映します。

算出方法としては、「前年の所得に30/100をかけた金額」で、国民健康保険料を算定し直します。ですので、国民健康保険料が「だいたい3分の1」に減ります。

私の場合は通常であれば「年間 約63万円」だったものが、「年間 約20万円」に減額されました。
「約43万円」の減免です。失業中の身としてはかなり助かります。

ただし各市町村によってこの制度があるかないか、制度の内容などに違いがあるようなので、検討際は、必ず自身のお住まいの自治体にご確認をお願いいたします。

申請する上での注意点

特定理由離職者として申請する上での注意点です。

注意点① 離職前に確認する

自分の離職理由が「特定理由離職者」に該当するのかどうか、判断が難しい場合は「離職前」にぜひ確認をお願いします。

なぜかというと、例えば「体力の衰え」に該当する「何らかの身体的な疾患」があった場合、当然それを証明する手立てがないと認められません。

この場合は「医師の診断書(主治医の意見書)」などが必須となります。

会社と退職する理由になる疾患なので、病院に通い始めるのも「退職前」でないといけません。

そのほかの理由としても、それを「証明する手立て」が必要になるので、それらを「退職前」に準備しておかないと手遅れになる可能性もあります。

少しでも「これは特定理由離職者に該当するのか?」と思ったらハローワークに問い合わせてみて、該当する場合、申請時にどのような書類などが必要なるのか?などを事前に確認しておいた方が安全です。

注意点② ハローワーク初回訪問時に申告する

そもそも「特定理由離職者」は会社から渡される「離職票」上は、ほとんどの場合「正当な理由のない自己都合退職」となってます。

これを自身の申告によって「離職理由の変更」をしてもらう必要があります。

ですので、かならず「ハローワーク初回訪問時」に、窓口にて離職理由の変更をしたい旨も伝えてください。

まとめ

特定理由離職者に該当すると、下記のような優遇措置があります。

 特定理由離職者1特定理由離職者2
給付日数増×
被保健期間
6か月以上で良い
求職活動実績の減数
給付制限期間なし
国民健康保険の減免

「一般受給資格者」と比べてかなり大きな優遇措置が受けられますので、「もしかしたら特定理由離職者に該当するかも?」と思ったら、ぜひ離職前に事前確認をして、準備をしてみてください。

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